ワイヤーカットの治具制作専門家に聞く!多品種の治具制作におけるワイヤーカットの利点と、発注担当者からのよくあるFAQを解決。
治具制作にワイヤーカットを組み合わせると、多品種・少量の治具を高精度かつ短納期で立ち上げやすくなります。
とくに位置決め精度が重要な治具や、高硬度材・薄肉形状・微細スリットを含む治具では、ワイヤーカットが歩留まりと段取り効率を大きく改善します。
—
この記事のポイント
**今日の要点3つ(ワイヤーカット×治具制作)**
– 多品種・少量の治具制作では、切削加工とワイヤーカットを組み合わせることで、段取り回数を減らしながら高精度な位置決めを両立できます。
– 高硬度材・薄肉部・微細形状を含む治具は、ワイヤーカットを使うことで変形リスクを抑えつつ、ミクロンレベルの精度で加工できます。
– 発注担当者は「図面の出し方」「材質選定」「加工工程の考え方」を押さえるだけで、コストと納期、精度のバランスが取りやすくなります。
—
この記事の結論
– ワイヤーカットは、非接触かつミクロン精度で加工できるため、多品種の治具制作において「加工の最後を締める精密工程」として非常に有効です。
– 切削加工と組み合わせた工程設計により、段取り替えや工程間の誤差を抑えつつ、位置決め治具・測定治具・微細加工治具に必要な精度を確保できます。
– 焼き入れ後の高硬度材や薄肉・細溝など、通常の切削では難しい形状でも、ワイヤーカットなら安定した品質で治具制作が可能です。
– 少量(1~数十個)から中量(~200個)までの治具・治具部品は、ワイヤーカットを絡めた一貫加工により、リードタイム短縮とコスト最適化が実現できます。
– 図面段階で加工会社に相談しながら「どうワイヤーカットを使うか」を決めることで、手戻りを減らし、長く使える治具を設計できます。
—
ワイヤーカット×治具制作:基本を押さえる
ワイヤーカットとは?治具制作でなぜ重要か
一言で言うと、ワイヤーカットは「電気の火花で金属を削る、非接触の精密ノコギリ」のような加工方法です。
導電性のある金属を、細いワイヤー電極と工作物の間で発生する放電によって少しずつ溶かしながら切断するため、刃物で押しつけて削る切削加工とは原理が異なります。
– 非接触加工なので、切削力による変形やビビりが起こりにくい
– 一般的に±0.005〜0.01mmクラスの高精度加工が可能
– 極めて硬い焼き入れ材や難削材でも、形状次第で安定して加工できる
治具制作では、位置決めピン穴、スリット、逃げ形状、ダボの割り、ガイド溝など、「精度と形状自由度を両立したい」部分にワイヤーカットが多用されます。
多品種の治具でワイヤーカットが活きるシーン
結論として、多品種の治具制作では「試作段階から仕様の変わりやすい部位」にワイヤーカットが特に有効です。
例として、以下のようなケースで当社でもワイヤーカットを積極的に使っています。
– ロットごとにワーク形状が少しずつ違う場合の位置決めブロック部
– 薄肉のクランプ爪や、狭いスリットでのクランプが必要な治具
– 高硬度材(焼き入れ鋼)のまま使用する摺動部やガイド部
こうした部分は、設計段階で「後からワイヤーカットで切り出せるようにしておく」ことで、仕様変更時も最小限の追加工で対応しやすくなります。
—
ワイヤーカット×治具制作:工程設計の考え方
切削加工とワイヤーカットをどう組み合わせる?
結論から言うと、最も大事なのは「荒加工は切削、仕上げの位置決めはワイヤーカット」という役割分担です。
マシニングや旋盤でベース形状と基準面を出し、その後にワイヤーカットで高精度な穴・溝・輪郭を仕上げることで、工程全体のバランスが良くなります。
– ベースブロックの外形・ザグリ・タップ:マシニングセンタ
– ワーククランプ面・基準面:研削または切削+ワイヤーカット
– 位置決めピン穴・溝・微細スリット:ワイヤーカット
この流れにしておくと、一度の段取りで複数の面をワイヤーカットでき、工程間の載せ替えによる位置ずれを最小限に抑えることができます。
高硬度材・薄肉・微細形状への応用
治具制作では、寿命や剛性を優先して「焼き入れ後に仕上げる高硬度材の治具」が増えています。
切削工具だけで仕上げようとすると、工具摩耗・びびり・熱変形などのリスクが高くなるため、焼き入れ後の仕上げはワイヤーカットや研削に任せるのが安全です。
– 高硬度材のガイドブロックの最終幅出し
– 薄肉プレート治具の外形仕上げとスリット加工
– 微細な逃げ溝や段差の仕上げ
ワイヤーカットは切削力がほぼ不要なため、薄肉部でもワークの変形を抑えながら加工できます。
その一方で、レーザーカットより加工時間は遅いものの、精度は一桁以上高いレベルまで追求できます。
—
ワイヤーカット×多品種治具:発注担当者が押さえるべきポイント
発注前に決めておきたい3つのポイント
一言で言うと、発注担当者がまず押さえるべきは「精度」「材質」「個数」の3点です。
これがあいまいなまま見積もり依頼をすると、加工側の前提がばらつき、コストや納期の比較が難しくなります。
– 精度:位置決めピンや摺動部はどの程度の公差が必要か
– 材質:普通鋼か、高硬度を狙うのか、耐食性(ステンレスなど)が必要か
– 個数:試作1個か、小ロットの複数個か、将来の量産を見込むか
榊原工機では、1~200個の少量~中量生産を想定した治具制作とワイヤーカット加工に対応しており、図面段階からこれらの条件に応じた提案を行っています。
図面の描き方・情報の伝え方
結論として、初心者がまず押さえるべき点は「ワイヤーカットを使ってほしい箇所を図面でわかるようにする」ことです。
必須ではありませんが、図面上や指示書に「ワイヤーカット仕上げ希望」「焼き入れ後ワイヤーカット」等と記載していただくと、工程設計がスムーズになります。
– 重要寸法には、公差と基準面(DATUM)を明記
– 「あとから調整する可能性が高い箇所」をメモで共有
– 可能であれば、組立図やワークの使用イメージ写真も添付
これにより、加工側で「どこまで切削で仕上げるか」「どこからワイヤーカットに任せるか」を判断しやすくなり、ムダな工程や過剰品質を避けられます。
—
よくある質問(ワイヤーカット×治具制作 FAQ)
Q1. ワイヤーカットとマシニング、どちらを優先すべきですか?
A. 精度重視の箇所はワイヤーカット、形状・面取り・タップなどはマシニングを優先するのが基本です。
段取り時間とコストのバランスを考えると、荒加工を切削、仕上げをワイヤーカットに分担すると効率的です。
Q2. 多品種の治具を一度に依頼しても対応できますか?
A. 少量多品種の治具はまとめてご相談いただくことで、共通治具化や部品のモジュール化を提案しやすくなります。
同じワイヤーカット工程にまとめることで、段取りの共通化や材料ロスの削減が可能です。
Q3. 焼き入れ前と後、どちらでワイヤーカットすべきですか?
A. 寸法精度が最優先の箇所や、摩耗に強い必要がある部位は「焼き入れ後ワイヤーカット」が推奨されます。
一方で、大きな形状や公差が緩い箇所は焼き入れ前加工+熱処理+研削や再加工の組み合わせも選択肢になります。
Q4. 薄肉のプレート治具でもワイヤーカットは使えますか?
A. はい、薄肉や細幅のプレート治具こそワイヤーカットが得意とする領域です。
切削力がほぼかからないため、クランプ方法を工夫すれば変形を抑えたまま輪郭やスリットを仕上げることができます。
Q5. ワイヤーカットの加工範囲やサイズに制限はありますか?
A. 一般的な中小企業の設備では、数百mm角程度までのワークに対応していることが多く、榊原工機でも手のひらサイズ中心の小物部品を得意としています。
大型の治具や長尺物が必要な場合は、工程を分割するか、他工法との組み合わせをご提案することがあります。
Q6. コストはレーザーカットや単純切削と比べて高くなりますか?
A. 単純な外形だけなら切削やレーザーカットのほうが安くなる場合もありますが、高精度が必要な治具ではトータルコストを抑えやすいケースが多いです。
後工程の手直しや組立時の不具合を減らせるため、結果として現場トラブルや再製作コストを削減できます。
Q7. 図面が無くても相談できますか?
A. ラフスケッチや現物支給からの治具制作にも対応している加工会社は多く、榊原工機でも試作開発や個人ブランド向けの治具設計から相談を受けています。
用途やワーク形状、求める精度をヒアリングしながら、ワイヤーカットを含めた加工工程をご提案する流れが一般的です。
Q8. 多品種治具の立ち上げを短納期で進めるコツはありますか?
A. ポイントは「共通ベース+交換部品」という考え方で治具をモジュール化することです。
共通ベースを先行で加工し、ワイヤーカットで仕上げる交換ブロックをロットごとに追加制作することで、短納期かつ柔軟な切替えが可能になります。
—
まとめ
– 多品種の治具制作では、荒加工を切削、仕上げ精度が必要な部分をワイヤーカットに任せる工程設計が効果的です。
– 高硬度材・薄肉・微細形状を含む治具には、ワイヤーカットを活用することで、変形リスクを抑えながらミクロン精度の位置決めを実現できます。
– 発注担当者は「精度・材質・個数」を事前に整理し、図面やイメージを共有しながら加工会社に相談することで、コスト・納期・品質のバランスが良い治具制作が可能になります。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
🏮🔥 注目記事 🔥🏮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
真ちゅう製ランタンに熱視線
春日井「榊原工機」が自社ブランド立ち上げ
📰 記事はこちら →
https://www.chunichi.co.jp/article/1182115?rct=aichi
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
―― 会社情報 ――
有限会社 榊原工機
〒486-0932
愛知県春日井市松河戸町2丁目5-15
事業内容
・機械部品
・試作部品
・治具部品
・金型部品
の機械加工
お見積り・お問い合わせ
TEL:0568-36-1628
受付時間:9:00〜18:00(12:00〜13:00を除く)
※2024年1月より 9:00〜17:00 に変更
休日:土・日・祝日
メールでのお問い合わせ
(お問い合わせフォーム)
https://www.sakakibara-kouki.co.jp/contact/
公式チャンネル
YouTube:
https://www.youtube.com/channel/UCIhktvNTeTej8hJeoeKHvXQ
Instagram:
https://www.instagram.com/sakakibara_kouki/

